安藤の掃溜め

どこに投稿するかわからないものを投稿するために開設。飽きたら放置。

ミュージシャンはなぜパツパツパンツを履くのか

ミュージシャンはなぜパツパツのズボンを履くのか。
これは果てし無くバカみたいな話であり、しかし1度気になると果てし無く気になる話なのである。

パツパツズボンーー語呂が悪いため、以降はパツパツパンツとするーーが音楽界において一世を風靡したのは、1980年代から90年代にかけての、群雄割拠のHR/HM戦国時代の頃だった。
だが、それ以前にパツパツパンツの兆しが無かったわけではない。1970年代には全身タイツのフレディ・マーキュリーであったり、異星人みたいなデヴィッド・ボウイであったり、その他諸々のグラムロック界隈のミュージシャンたちなどが、ぴったりした衣装でボディラインを観客へと存分に見せつけていた
また、オジー・オズボーンは1960年代にロバート・プラントと初めて会った時の印象として、「あんなにぴったりしたパンツを履いているやつを見たことがなかった」という旨のことを語っている。

だが、それらのパツパツパンツは1980年代以降のパツパツパンツとはちょっとイメージが違う。
フレディのタイツは自身のバレエ好きや音楽的イメージが服装として表れたものであり、ボウイのボディスーツも世界観を表現するためのものであり。エロティシズムを根底に持つグラムロック界隈の細いパンツは、ゲイファッションの影響があるだろう。
つまるところ、1970年代におけるパツパツパンツとは、あくまで「衣装としての舞台装置の一部」に過ぎないのだ。彼らは音楽的な理由があるからパツパツパンツに脚を捩じ込み、舞台に立っていた。単純明快な答えである。

えっ?じゃあロバートプラントはどうだって?
……どうなんだろうなあ。

そして1980年代に入ると、パツパツパンツは大流行する。
猫も杓子もパツパツパンツ。音楽には関係なくパツパツパンツ。材質はゴムでも革でも布でもなんでも、とりあえず基本はパッツパツ。股間サポーターまで付けたやつもしばしば存在した。隠すか出すかどっちかにしてくれ。

具体的なバンド名やアーティスト名を列挙するのも面倒なほど、パツパツ野郎が音楽シーンを埋め尽くしたあの時代。なぜ、1980年代において、パツパツパンツはあんなに流行したのか。
だってあんなのが流行るなんてどうかしてる。どう見ても動きにくいし、暑い。この間TLでいろんなミュージシャンのつぶつぶ付きパツパツパンツについて話し合ったが、アレ硬い椅子に座ったら絶対ヤバい。座れない。洗濯して縮んだら途端に履けなくなるし、3キロでも太ったらもうアウト。利便性皆無。

その理由が気になった私はまず、「あれはセックスアピールなのではないか?」と考え、太腿のパツパツ具合と性機能の関係について調べてみた。なんか以前Twitterで「太腿がパツパツの男は絶倫」という話を見た気がするからだ。

音楽の良さと容姿の良さは関係無い。これはまあ事実である。特に日本においては、山口百恵がモテたいためのロックは動機不純と歌っているから、尚のことその辺りの関連付けは嫌われる。
しかし、人間の三大欲求に「性欲」は含まれていても、「音楽でスターになりたい欲」は含まれていないわけで。

んで、結論から言えば、適当に探した限り、「太腿がパツパツの男は絶倫」という話に対して、明確なソースは見つからなかった。だが、「性機能向上にスクワットが有効」というウェブサイトは幾つか見つかったから、みんな今日からスクワットをしよう。
まあでもこの結果は、「脚を鍛えれば性的能力が上がる」というわけで、裏返せば「性的能力が高い男性は脚がムキムキ」ということにもなる。つまり、パツパツパンツはセックスアピールに有効なのだ。

とりあえずこれで、どう考えても不便なパツパツパンツを履く理由がひとつできた。
しかし、よく考えてみてほしい。しっかりした太腿を見せつけたいのならば、ズボンなんかそもそも履かず、ホットパンツみたいなのを履いて出て来れば良いのだ。敢えて暑いパツパツパンツなんか汗だくになって履く必要は無い。

とはいえパツパツパンツの良いところは、鍛えていないひょろりとした華奢な脚を男らしく演出してくれる所にもある。脚の短さをごまかすための腰パンみたいなものだ。
カッコいい身体とモテる身体とは、ちょっと違う。男なら一度は最近のザックワイルドのように「強そう」な男に憧れるものだが、世の女性の多くは、若い頃のザックワイルドみたいな細マッチョが好きだ。

そういうところでも、パツパツパンツは意外な有用性を見せる。あのパツパツパンツ、要は「ちょうどいい感じ」に自分の体格を演出してくれるのだ。程よく筋肉質に、程よく華奢に。数万人の前に立つ時には、自分をより格好良く、より魅力的に見せたいのは当然の心理であるから、そういう「性的魅力の演出」からパツパツパンツを履きたがった、ということは、万人に納得の行く理由だろう。

ついでに、パツパツパンツに対するフェティシズムというものは、ラバーフェチなんてものがある。こいつはゴムの質感や匂い、締め付けにムラっとするフェチなのであるが、驚くべきことに、ラバーフェチの本場はイギリスなのだそうで、1984年頃にはラバーフェチを扱った雑誌がファッション界で大きな話題となっていたそうだ。

ファッション界で最新ファッションとしてパツパツが取り上げられ、流行を追う若者がそれを自ら取り入れ、そして若いミュージシャンたちのファッションになった。
単純な流れだが、パツパツパンツが流行りだした時期を考えると、説得力が凄い。っていうかこれが正解なんじゃなかろうか。今では笑っちゃうようなパツパツパンツも、昔は最先端のカッコいいファッションだったのだ。

パツパツパンツが気になって深堀りしてみたら、フェティシズムとファッションの意外な歴史が見えた。でもまあ結局私が言いたいことは、トニー・アイオミのパツパツパンツはめちゃめちゃカッコいいという事だけだったりする。

さあ、みんなもレッツ・パツパツパンツ。
ちなみに私は、パツパツパンツが苦手です。